床屋へ

背中までのび放題の髪をどうしても切りたくなって、午前中に床屋に行く。当てずっぽうに街に繰り出し、家から一番近い店に入る。女性スタッフ2人だけの小さな店。床屋じゃなくて美容室だ。英語が通じない。身振りや簡単な単語で用件を伝える。なんとか椅子に収まって髪型の本を見せて欲しい件を伝える。適当に選んで注文すると、これはあなたには合わないと言われてしまったので、とりあえずこんくらいの長さに切ってと再度お願い。ついでにコーヒーのブラックを注文。シャンプーもなし、首や顔を前触れもなく方向修正する。なかなか豪快に切る。途中、予約しておいた中年の女性が入ってくる。どうも、私のせいで予約の時間に切れないみたいで店員ともめている。私が心配そうにみると、女性はさらに怒り心頭の様子で私の方に向かってしきりにちくしょう!を連発している。凄い剣幕だが、店員はいっこうに動じる様子なく私の髪をきりながら応酬する。結局女性は、チクショウ!の捨て台詞を残して去って行く。
   豪快な切り方や小事件のせいでコーヒーを飲むのを忘れる。店員がコーヒー飲まないの!と迫る。鏡の自分を観ながらしぶしぶ可否をすする。20分と約1300円ほどで、雑な切り方ではあったが、清潔感ある好青年にしたてあげてくれた。長髪だった時は女性のようで、あれはあれで気に入っていたので、髪をばっさりやって少し惜しくも感じる。ただ、うっとおしい髪がなくなったせいか、気分が軽やかでよろしい。そうして、秋晴れの午後、仕事へ向かう。